2008年03月30日

[本]毎日は笑わない工学博士たち

 「毎日は笑わない工学博士たち」を読みました。森博嗣氏のウェブ上に掲載されていた日記(今は公開終了)をまとめた本で、1996年8月から1997年12月までのものなのでとても古いです。シリーズで全5巻構成になっていて、発売順では本書は2冊目だけど、時系列では一番古いものです。

1996年8月-1997年12月 毎日は笑わない工学博士たち
1998年1月-1998年12月 すべてがEになる
1999年1月-1999年12月 封印サイトは詩的私的手記
2000年1月-2000年12月 ウェブ日記レプリカの使途
2001年1月-2001年12月 数奇にして有限の良い終末を

 しかし、新刊で手に入るのは本書と「数奇にして有限の良い終末を」のみで、他の3冊は絶版になっているようです。僕は日記作品(本シリーズとMORI LOG ACADEMY)が氏の最高傑作だと思っているので、その3冊は結局Amazonマーケットプレイスで中古本を定価以上の値段で買いそろえました。まだ読んでいないけど価値は買った値段以上だと確信しているので、これから読むのが楽しみです。

 と、今、日記の期間を調べるために先の本を読んでいたら、氏も同様の意見を持っていることを知りました。「数奇にして有限の良い終末を」のまえがきから引用してみます。

 さて、結論を書くが、このシリーズは森博嗣のこれまでの著作のうち、作者にとって最高に価値がある創作物であり、これはしばらくは揺らぐことがないものと確信している。

(略)

 小説などはいつでも書けるし、それほど価値のあるものではない。この日記を創作する労力に比べれば、きわめて微々たる作業であるうえ、そこに含まれる情報の量や、発想の質、あるいは純度という点においても、まったく比較にならない。
 
(略)

こんな恥ずかしいことを書いているのは、つまり自分でもときどき、この日記を読み直して、それを拾うからである。ここから、どれだけの文章が生まれただろう。否、これまでに書いたエッセイなどは、すべてここに原点がある。すべてここで掘り出された化石を、ただ磨いただけの代物といって良い。

 宝石を磨き上げ、ショーウインドウに並べることは、原石を見つけて掘り出す作業に比べて、はるかに簡単である。

 宝石店で売られている既製品ではなく、自分で取捨選択して磨き、自分自身の宝石とするための原石が転がっている場所。この本はまさに原石の採掘場なのだと思う。森博嗣氏は世間一般の平均からかなりずれている人なので、泥をかぶることもあるでしょう。それでもこの本からは多くのものが得られるはずです。

なんだかシリーズの書評になってしまいましたが、最後に「毎日は笑わない工学博士たち」から一番印象に残った部分を引用します。(太字は本文中のもの)

 公言する以外では、どうすれば夢を実現できるか、ごく簡単に教えます。「無駄なことはしない」ですね。これに尽きます。「無駄なことしかしない」でも、ほとんど同じです。つまり、することを減らすこと。

 まず、テレビを見たり、新聞を読んだり、スポーツを見たりするのをやめるのが良いでしょう。それから、食事を1日1回減らして、睡眠を2時間減らしましょう。土日祝日、お盆、お正月などに休むのをやめて、惰性でつき合う友人を切って、お酒もやめましょう。あと、麻雀をやめて、競馬をやめて、スキーをやめて……。合コンもやめて……。ね、たくさんやめるものがありますよね。やめられるものが多いのは幸せです。
 これだけやめれば、あなたの夢は簡単に叶うでしょう。

 「夢に向かって一直線になれば夢が叶いますよ」と単純に言っているわけではないことが印象的でした。やめられるものが多いのは幸せです。そうかもしれない。


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森 博嗣

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posted by kozi at 04:36| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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